こんにちはパップコーン大桶です。
昨今、隣に住んでいる人を知らないとか、親友と呼べる人がいないとか、人間関係の希薄さが嘆かれることが多いですね。非常に切ないことです。
人と人の繋がり、友情、コミュニケーションというものは本当に大事だと思うんですよ。と、いうことで今日は僕が最もコミュニケーションを大事にしていると思う妖怪を紹介しようと思います。今日ご紹介する妖怪は『鎌鼬』です。

『鎌鼬(かまいたち)』とは、足の先に鎌上の鋭い爪がついた鼬の妖怪です。風に乗って現れ、人間にかすり傷程度の切り傷をつける。比較的有名な妖怪ではないでしょうか。
そんな鎌鼬には特徴があります。それは、必ず三匹で行動すること。三位一体のチームプレーで人間にかすり傷を作るんですね。そんなかすり傷の作り方を簡単に説明するとこうです。
1、一匹目が人間を転ばせる。
2、二匹目が人間をざっくり切る。
3、三匹目が人間に薬を塗ってかすり傷程度にする。
一瞬で行われる素晴らしいチームプレー! まさに三重奏! こうやって鎌鼬は人間にかすり傷をつけているんですね。ただ、僕はいつも思うんですよ。
二匹目が加減すればいいだけの話じゃね? って。
だって二匹目が手加減すればかすり傷になるじゃないですか! 薬を塗る必要も手間もないじゃないですか! そもそも転ばせる必要ないじゃないですか! よって二匹目が頑張ればいいじゃないですか! なんで鎌鼬はわざわざこんなことをするのかと考えてみました(妄想で)。
おそらく、鎌鼬の三匹は凄い仲が良いんでしょうね。妖怪学校を卒業するぐらいまではいっつも三匹でいたんでしょうね。お前ら本当に仲良いなって周りに言われるぐらいに。で、妖怪学校を卒業して、一緒に仕事することになって、いざ実践にいたった時に気づいたんでしょうね。一匹でいいって。他の二匹いらないなって。
さぞかし衝撃が走ったでしょう。そりゃ他の二匹は気を使いますよ。『あ、別に俺達気にしてないから人間にかすり傷つけちゃいなよ』みたいな。『お前がかすり傷つけてる間俺達スタバにいるから』みたいな。『終わったらLINEして』みたいな。微妙な空気漂いますよ。ちょっと再就職も考えなきゃ、みたいな考えも頭をよぎりますよ。
その時、二匹目が急に大声で叫んだんです。『やっべー! 俺人間が転ばないと不安で切りにいけないし、あと手加減できないから薬がないと人間のことばっさり切っちゃうわー!』って。『だから人間を転ばせるやつと薬を塗るやつが必要だわー!』って。他の二匹は分かってるんですよ。そんなことしなくてもこいつは人間にかすり傷をつけられるって。手先器用だから。二匹目は技術家庭5だったし。字も綺麗だし。ただ、そこで二匹目の優しさに触れたわけです。三匹で仲良く人間にかすり傷をつけようという二匹目の心意気を受け取ったんです。
それぞれが元気に叫びました。『よーし! 俺人間転ばせるぞー!』『じゃあ俺は人間に薬塗るぞー!』『良かった! これで俺安心して人間を切れるぞー!』こうして、鎌鼬は三匹で協力して人間にかすり傷をつけるようになったのではないでしょうか。つまり、人間を傷つけることは出来ても! 三匹の友情に傷をつけることは出来なかった!
なんて美しい友情の物語なんでしょうか! あ、妄想ですよ。でも、こう考えると鎌鼬がとても可愛らしく感じられるし、友情っていいな、って思うんです。風を感じた時、体にかすり傷が出来ていたら、それは鎌鼬の友情の証だと思ってくださいね。
